大谷翔平選手が、また一つ球史に金字塔を打ち立てました。
7月27日に敵地で行われたデトロイト・タイガースとのダブルヘッダー第1試合において、自身メジャー初となる完封勝利を果たすと、直後の第2試合で2打席連続となる37&38号ホームランを放ち、チームの連勝に貢献。
これまで登板日やその翌日でのアーチを放ったことはありましたが、ダブルヘッダーの1試合目を一人で投げぬいて、その次の試合で本塁打をそれも2本も放ったのは、メジャー史上だれも成し遂げたことがありません。
この歴史的快挙の前に
「バケモノ」「宇宙人」「この世のものとは思えない」「漫画でもありえない」
などネット上も騒然。敵地含め現地メディアはもちろんのこと、アジアヨーロッパ諸国のメディアも大々的に報じました。
◆今季最高のピッチング!支配的な111球で自身メジャー初完封
「2番・投手兼DH」で投打二刀流出場したダブルヘッダー第1試合、大谷選手は無双とも言える圧巻のマウンドさばきを見せつけます。
初回1死、ライリー・グリーン選手から内角高めの速球で空振りを奪いこの日最初の三振とすると、2回2死からはハビアー・バエズ選手をスライダーで空振り三振に仕留めるなど、快調な立ち上がり。
4回まで打者12人に対し一人の出塁も許さぬパーフェクトピッチングを披露。
その後5回先頭の4番ケリー・カーペンター選手に安打を許したものの、併殺で切り抜けました。
6回、7回、8回とゼロを並べ続け、9回もマウンドに上った背番号17は、最終回も三者凡退に打ち取り、自身メジャー初となる完投&完封で今季9勝目をあげました。
9回、111球、8奪三振、打者29人に対して許した安打はわずか1本。もしも5回のカーペンター選手のヒットがなければノーヒットノーランという完ぺきな内容でした。
大谷選手が試合後のインタビューで
「ストレートも良かったですし、序盤のコマンドがまず良かったのかなと思うので、リズムに乗りやすかった」
と語った通り、この日はコーナーを突くコントロールが抜群。
力のあるフォーシームを主体に、スライダー、スプリット、カーブ、カットボールと全ての球種をゾーンギリギリに投げ分け、タイガース打線を圧倒。
9回111球の球数からも分かる通り、8つの三振に加え、要所では効果的に併殺を奪うなど、支配的な投球を見せつけました。
「ピッチング・ニンジャ」の愛称で知られる投球分析家のロブ・フリードマン氏も
「ショウヘイはまるでストライクゾーンのラインが見えるようだ」
と見事な制球力を称賛。
同氏が投稿したダイジェスト動画には、内外角、高め低めとゾーンギリギリをピンポイントに決めるシーンが66秒間に渡って収められており、コメント欄も「投手・大谷」を絶賛する声で賑わいを見せました。
この日は、相手先発が昨季までエンゼルスで大谷選手とともにローテーションの一角を担っていたマイケル・ローレンゼン投手だったことでも話題となっていました。
大谷選手がMLBキャリア初の完封勝利を果たした一方で、ローレンゼン投手はピンチで粘りきれず5回3失点で降板。
午後1時開始と、一日の中でも最も気温の高い時間帯でのプレーとなったため、マウンド上はかなり蒸し暑かったようで、同投手もタフなコンディション状態だったことを明かした上で、「投手・大谷」が見せた完璧なピッチングを称賛しました。
実際、ローレンゼン投手が降板した5回まで、大谷選手はすべての回を3人で終わらせ、攻守のリズムを完全にコントロール。
ローレンゼン投手は悔しさを滲ませながらも
「オオタニはとてつもないよ。僕は昨年、ずっとそれを(チームメイトとして)見てきたからね」
と絶賛。
試合後、40分もすれば次の試合が始まるにも関わらず、恒例となった囲み取材に応じた大谷選手は
「ダブルヘッターの1戦目だったので、チーム的にも良かったかなと。個人的にももちろん良かったです」
と笑顔を見せ、メジャー初完投&完封での9勝目を満足気に語りました。
大谷選手の完封は、渡米直前のラスト登板以来6年ぶり。
復活の狼煙を上げたこの日の投球を振り返りながら、次回登板へと気持ちを切り替えました。
米データ分析会社『Codify Baseball』公式ツイッターも
「MLBの本塁打リーダーが完封。目撃したにもかかわらず、この一文を打ち込みながら『間違っているんじゃないか?』と感じる」
と、あまりのパワーワードに、自らのツイートが“誤報”なのではないかと自問自答。
この試合終了までに、大谷選手は両リーグトップとなる36本塁打を放っており、7月17日の対ヤンキース戦では、大谷選手と勝負をして本塁打を浴びたことで、相手監督が現地メディアで痛烈に批判されました。
「今の大谷選手とは、まともに勝負をしてはいけない」
というのが、メジャー各球団のセオリーとなっています。
明らかな敬遠や際どいボールゾーンへの投球が増え、直近5戦において16打数1安打6四球と、大谷選手のバットからも快音が遠ざかっていました。
多くのファンやメディアがエースの熱投を労いつつ、この日の完封劇に酔いしれ
「明日からの対ブルージェイズ3連戦では打撃で活躍してほしい」
と目下ワイルドカード第3位に位置するライバル球団との直接対決へと意識が移っていました。
しかし、唯一無二の二刀流が紡ぎ出す伝説の1日はまだ終わってはいなかったのです。
◆「彼は実在するのか?」超次元パフォーマンス!完封後即スタメン&2打席連発!)
この日はダブルヘッダーでの開催のため、第1試合終了のわずか44分後に第2試合が開始されました。
大谷選手は、さも当然のように「2番・DH」と上位打線に名を連ねて先発出場。
投打二刀流で9回フル出場するだけでも凄いことなのに、9回完投して1時間もたたないうちにスタメンで出場するなんて、常識で考えたら絶対ありえないことです。
しかしこの常識外の状況が次々と上書きされていきます。
3点リードで迎えた2回2死一塁の場面。
相手先発マット・マニング投手が投じた94.2マイル(約151.6キロ)のフォーシームを捉えた打球は逆方向にぐんぐん伸びて、左翼スタンドへ、
打球速度107・6マイル(約173キロ)、飛距離383フィート(約117メートル)と15打席ぶりの37号2ランホームランとなりました。
二刀流のユニコーンの千両役者ぶりに敵地スタジアムが騒然する中、世界中の野球ファンがさらに腰を抜かす衝撃の事件が起こります。
続く第3打席。同じくマニング投手のフォーシームを、今度は思い切って振り抜くと、打球は右翼方向へ一直線。
打球速度116・9マイル(約188キロ)、飛距離435フィート(約133メートル)、打球角度22度のライナー弾はあっという間にスタンドイン。
2打席連続となる38号ソロ本塁打となりました。
ダブルヘッダーそれぞれの試合で完封勝利と2本塁打を放つのは史上初の快挙。
6月30日のシカゴ・ホワイトソックス戦で披露した「10奪三振&マルチ本塁打」もすごかったですが、ダブルヘッダーで完封の後に2打席連続でホームランって、一体どう形容すればいいのか、もはやふさわしい言葉が見つかりません。
世界最高峰の舞台において「唯一無二のユニコーン」と称される大谷選手が、また一つ金字塔を打ち立てることとなりました。
現地時間の時系列順に整理すると
「午後1時10分、先発投手として第1試合開始」
「午後3時26分、111球を投げて完封勝利」
「午後4時10分、ダブルヘッダーの第2試合開始」
「午後4時45分、37号2ランホームラン」
「午後5時45分、2本目となる38号ソロホームラン」
と、その間わずか4時間35分。
しかも、ダブルヘッダー2試合目の37号アーチは完封勝利を遂げたわずか80分後に放っています。
◆「ウソでしょ、オオタニ!」異例の8連続投稿!鳴り止まぬ賛辞の嵐
1日でメジャー初完封と2打席連発で本塁打キングを独走するパワフルさ。
まさに異次元と言える活躍に、現地メディアは喝采の嵐となりました。
米メディア『MLB公式サイト』は
「ウソでしょ、オオタニ!ショウヘイがワイルドなダブルヘッダーで1安打投球をし、2本塁打を放つ」
と率直な驚きを見出しに取って、メジャー初の大偉業を打ち立てたダブルヘッダーの内容をレポート。
「エンゼルスの二刀流のスーパースターが木曜日、また驚嘆させた。
ショウヘイ・オオタニは6年のメジャーリーグのキャリアで数多くのことを証明してきた。
もし彼にできないことがあるとあなたが思っているなら、あなたはおそらく間違っている」
と美辞麗句を並べ立て、この偉業を称えました。
『MLB公式インスタグラム』に至っては、この日の獅子奮迅の躍動を異例の連続投稿。
第1試合の完封劇や随所で見せた活躍の詳細などを次々と投稿し、2本目となった38号弾には
「WE ARE ALL WITNESSES:我々はみな歴史的瞬間の目撃者だ」
とのコメントを添えて動画もアップ。
最後の8投稿目では、この日の投打における成績とともに
「ショウヘイはたった1日で週間MVPの栄誉を手に入れたのか?」
と締めくくりました。
米放送局『FOXスポーツ』の公式ツイッターも、ダブルヘッダー2試合目の1発目に放った37号ホームラン動画とともに
「ダブルヘッダー1試合目で完璧な投球をした選手が同じ日にキング独走となる37号を放つとは誰が信じられるか?アンリアルだ!」
とユニコーンの絵文字を添えて速報を投稿。
さらに続いて、4回の第3打席で飛び出した弾丸38号ホームラン動画に対しても同じくユニコーンの絵文字とともに
「The Greatest Sho:最も偉大なるショー」
と大谷選手の愛称にひっかけて連続投稿しました。
さらに同サイトでは、エンゼルスが今夏のトレード市場での大谷選手放出を封印したことを受け
「(球団の)決断に満足する十分な理由を与えた」
と投打で躍動を見せた二刀流スターを称えました。
米スポーツメディア『Sports Illustrated』も
「ショウヘイ・オオタニ、歴史的ダブルヘッダーでエンゼルスのトレード拒否の決断に報いる」
と銘打ったレポート記事を配信。
「マウンドでの圧倒的な投球で個人としての歴史に名を刻むだけでは物足りず、29歳の傑出した選手はダブルヘッダーの後半でもMLBの歴史に名を刻んだ」
と、この日の超次元パフォーマンスを称えました。
大谷選手の活躍で、エンゼルスはタイガースとのダブルヘッダー2試合を連勝。
3連戦を全勝スイープで4連勝とし、9年ぶりのポストシーズン進出に向けて、これ以上ない反撃の狼煙となりました。
◆「球史に残る前代未聞のショー」目撃した“大谷翔平の1日”に敵地も激賞
地球上の誰もが見たことも聞いたこともない快挙の前には、もはや敵も味方もありません。
タイガースの地元メディア『デトロイト・ニュース』紙が
「オオタニがダブルヘッダーで圧倒した」
と見出しをつけ
「ショウヘイ・オオタニはタイガースとのダブルヘッダーで記憶に残る衝撃的な一日を終えた」
と手放しで絶賛。この歴史的な1日をスポーツ欄の一面を使って大々的に報じました。
同じくタイガースの地元メディア『デトロイト・フリー・プレス』紙も
「オオタニは123年間の球史の中で前代未聞のショーを見せた」
と二刀流の真骨頂が凝縮された1日に賛辞を送った上で
「エンゼルスはオオタニを残すと主張、すると彼はタイガース戦でそれを上回る主張をした。
オオタニをトレードで獲得できなくなった他チームはうらやましく思ったことだろう」
と去就問題に決着がついた大谷選手がエンゼルスをプレーオフに導く未来についても占いました。
大谷選手とってメジャー初の記録は裏返せば、タイガースにとってはメジャー初の屈辱です。
にもかかわらず、敵チームの選手も監督も、どこか晴れやかな表情だったことも印象的でした。
この日大谷選手から2本塁打を浴びたタイガースのマニング投手は試合後
「彼が40本塁打を放つのには理由がある。オオタニは今日、おそらく誰も見たことのないような最高の一日を過ごした。信じられないよ。
私はカウントが悪くなっても彼と勝負しにいったことを誇りに思う。脱帽するしかないよ」
と振り返り、投打において超弩級のパフォーマンスを見せた大谷選手に敬服しました。
また、マニング投手とバッテリーを組んだジェイク・ロジャース捕手も
「信じられないね。完封して2本塁打には感銘を受けるよ」
と素直に賛辞を送り、1安打完封と完璧なピッチングを見せた「投手・大谷」についても
「オオタニは有利なカウントに持っていき、計画通りに投球していたようだ。打者に何が来るか迷わせていたように見えた」
と絶賛しました。
球界屈指の智将として知られるタイガースのAJ・ヒンチ監督は
「1試合目から支配的で、あの段階でほぼ限界に近いはずだった。
なのに2試合目も出てきて怪物級のホームランを打ったんだ。
オオタニは2試合ともフィールドで最高の選手だった。我々は最高のプレーを見ることができたんだ」
と脱帽。
報道陣から受けた「オオタニは投手と打者のどちらが凄いか?」との質問にも
「それを選ぶ必要はなんかない。オオタニはどちらもベストなんだからね。
実際に今日の彼はそれを見せてくれたじゃないか!
彼はどんな不可能も可能にしてしまうんだ。それぐらいにずば抜けている。我々は世代を超えた才能と戦ったんだ」
と感嘆の声を漏らしました。
同監督は最後に
「彼のユニークさは世界中のあらゆる畏敬の念を集めるに値するね」
と締めくくり、この日大谷選手が見せた「伝説の一日」に、これ以上ない賛辞を送りました。
◆「かつて見たことがない」指揮官も絶句させた異次元パフォーマンスの「凄み」
試合後、エンゼルスのフィル・ネビン監督は
「かつてこんなものは見たことがない、それは確かだ。どのレベルであっても見たことがない」
と驚嘆。つづけて
「われわれは、彼のしていることを当然だと思わないようにしている。
毎日素晴らしいプレーをすることを期待しているとは言いたくない。
だが、結果としてそうなっている。見ていて圧倒される」
と投打での躍動を絶賛しました。
9回のマウンドに送り出したことについては
「8回に様子を伺いに行ったら、ショウヘイが『僕が試合を終わらせる』と言ってきた」
と明かし、苦しい台所事情を救うエースの頼もしさを誇らしげに語りました。
さらにネビン監督は
「これだけの注目を一身に集めながら、彼はこのレベルでパフォーマンスを披露している。
それは、精神的に強い者だけができることだ。彼について私が最も感銘を受けているのはそこだ」
と技術面だけでなく、メンタル面の強じんさについても称賛。
また、気になる大谷選手の体調についても
「今日はかなりの仕事量だったからね。(でも今は)彼は元気そうだ。
水分と休息を取れば明日も大丈夫だろう」
と翌日のプレーには影響がないとしました。
大谷選手は第2試合で2本目の本塁打を放った際に左の腰から脇腹にかけて気にする仕草を見せており、ベンチに下がっていました。
この日の2連勝でネビン監督は通算100勝に到達。
試合後、クラブハウスではパーティーが開かれたようで、ネビン監督はランドリーのかごに入れられて祝福のビールシャワーを浴びせられたそうです。
大谷選手も握りこぶしほどの大きさのケーキを携えてパーティーに参加したとのこと。
2試合目にベンチに下がったときには、大谷選手に怪我か?とファンもヤキモキしましたが、どうやら元気そうとのことなので、まずは一安心。
試合後のインタビューで大谷選手は
「普通にエンゼルスで最後までプレーするつもりで今までやってきました。
ただ周りの声も含めて気持ちもスッキリ臨めたので、これからプレーオフを目指して頑張りたいなと思います」
と大揺れに揺れた去就問題に決着がついたことで、より一層プレーに集中できたことを明かした上で
「ここまでプレーしてきたチームなので、もちろんファンの人も含めてもちろん大好きですし、最後までこのチームで今年はまずプレーオフを目指して、またその先も目指して1試合1試合頑張りたいなと思っています」
と渡米以来5年半過ごしてきたチームへの愛着を語り、悲願のプレーオフ進出に向けて気持ちを切り替えました。
◆大谷選手の打ち立てる偉業は「瞬間の爆発」
かつて私達は、ハンク・アーロン氏や王貞治氏による通算本塁打記録、イチロー氏によるシーズン最多安打記録、そして昨季のジャッジ選手によるリーグ本塁打記録と、様々な歴史的瞬間を目の当たりにしてきました。
もちろんそれらも凄いことなのですが、レジェンドたちによる偉業が「量の積み上げ」なのに対して、大谷選手の打ち立てる偉業は「瞬間の爆発」と表現したくなるものばかりです。
この日大谷選手が私達に与えてくれた感動は、いつまでも心のなかに残り続け、そして世代を超えて未来永劫語り継がれていくことでしょう。
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