今季も投打フル回転の活躍でチームを牽引するロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手。
シーズンオフにはFAとなる二刀流スターの争奪戦は過去に類を見ないものとなることが予想され、
その年俸総額は5億ドル(約699億円)とも6億ドル(約839億円)とも噂されています。
大谷選手がメジャー挑戦を表明した2017年オフにも、多くの球団が二刀流スターの獲得に名乗りを上げました。
あるメディアが
「大谷選手が、獲得に至らなかった球団に対しても感謝の手紙を送っていた」
と報じ、話題となっています。
かねてからその謙虚で紳士的な言動で、「息子にしたい有名人ナンバーワン」「子供のロールモデルにしたい」と称賛される大谷選手。
今回の動画では、チームや国境を飛び越える大谷選手の神対応に加え、母・加代子さんが明かしたそのルーツについてもご紹介いたします。
◆「信じられないほど礼儀正しい」大谷翔平の6年前の“気遣い”に再脚光
大谷選手の人格者ぶりが垣間見えるエピソードが話題を呼んでいます。
米スポーツ専門局『ESPN』が、「ショウヘイ・オオタニに対するMLB幹部の声」と銘打ったレポートを掲載。
その中で、大谷選手が2017年にメジャー移籍を決めた際の舞台裏を明かしました。
同メディアは、ある球団幹部の
「我々は膨大な時間を割き、プレゼンテーションの準備を重ねた。
そして完璧なパワーポイントの資料や刺激的なビデオを作製した」
とのコメントをとりあげ、当時の大谷選手争奪戦の様子を紹介。
日本ハムからポスティングシステムでメジャー移籍を目指した二刀流スターの存在は、現地でも大きな注目を集めました。
同メディアは、当時の状況を熟知するという別の球団役員による
「オオタニがエンゼルスと契約するという決断をした後、競り合いに敗れたチームは、このライジングスターから個人的な感謝の手紙を受け取った。
オオタニは交渉の過程の中で信じられないぐらい礼儀正しかった。ずっとだ」
とのコメントとともに、大谷選手が、自身に興味を抱き、交渉の場を設けてくれた関係者たちに対して、感謝の手紙を送っていたことを明かしました。
大谷選手の周囲への感謝の気持ちを忘れないこうした姿勢は、6年前の争奪戦で脱落した球団役員の心にも今なお強く残っていることでしょう。
同メディアは
「今オフにFAとなるオオタニに対しては、全球団と言っても過言ではないほどのチームが失恋をするリスクを覚悟している。
なぜなら、彼はそれほどまでに偉大になったからだ」
と締めくくり、移籍先の最有力候補としてロサンゼルス・ドジャース、それに次ぐ有力候補としてサンディエゴ・パドレス、ニューヨークを本拠地にするメッツ、ヤンキースなどを予想しました。
当時サンフランシスコ・ジャイアンツのGMとして、大谷選手と契約交渉を行ったボビー・エバンス氏も
「オオタニは優れた選手である前に素晴らしい人間。
彼は特別な才能の持ち主なんだ。どこに行ったとしても球団の顔になれるよ」
と大谷選手とグラウンド内外で接した時の印象を回顧。
今オフの争奪戦については
「チーム全体の50%のサラリーは提示できないだろうけど、考慮はする。
彼はそれくらい見ていて楽しいし、とてつもない才能の持ち主だからね」
とジョークを交えつつ
「勝者のメンタリティやチーム優先の姿勢、素晴らしいチームメイトでもある。チームに沢山のものをもたらすだろう。
どんな契約になろうと彼はそれを上回る活躍をすると思うよ」
と絶賛しています。
メジャーキャリア6年で球界屈指のメガスターとなった大谷選手。
類まれな野球センスもさることながら、礼節を重んじる人となりでも、多くの人を魅了しているのです。
◆偉業達成も常に謙虚…「自慢は恥」受け継いだ祖父の教え
大谷選手は、今季5月9日のアストロズ戦において、メジャー通算502奪三振に到達。
「100本塁打以上放った選手の歴代最多奪三振」を記録していたベーブ・ルースを上回り、MLB史にまた一つその名を刻みました。
歴史的偉業を打ち立て、世界の頂点に立っても、大谷選手は驕り高ぶったり、天狗になったりすることはありません。
パフォーマンス心理学の国内第一人者でハリウッド大学院大学の佐藤綾子教授は、大谷選手の大きな魅力のひとつとして「絶対、自慢しない」ことを挙げています。
大谷選手の母・加代子さんは、過去のインタビューにおいて
「翔平の心身に大きく影響を与えたのは、祖父(加代子さんの父)だった」
と、そのルーツを明かしています。
加代子さんによれば、お祖父さんの身長は昭和一桁生まれでは珍しい175cmの長身。
さらに、少年時代は運動能力では負けなしだったようで、走り幅跳びの記録は何年も塗り替えられずに残ったそうです。
お祖父さんは、孫の翔平少年が野球を始めたことをことさら喜び
「若い頃は、運動神経が良かった。だから翔平は自分に似たのかもしれない。
中学時代は野球部でエース兼四番だった」
と嬉しそうに加代子さんに語っていたそうです。
大谷選手の類いまれな身体能力と“二刀流”は、お祖父さん譲りなのかもしれませんね。
大谷選手がお祖父さんから受け継いだのは、運動神経や体躯だけではありません。
母・加代子さんの実家の近所住民は
「翔平くんはプロ野球選手になって大活躍したから、Aさん(祖父)の奥さんも近所の世間話で孫自慢くらいしたいはずだったと思うんです。
でもAさんは奥さんに『聞かれてもないのに、そんなことペラペラ他人に自慢するもんじゃないですよ。軽はずみなことはよしなさい』と言っていたんです。
だからこのあたりに加代子さんの実家があるって、今でもあまり知られていないんですよ」
と大谷選手のお祖父さんの謙虚で厳格な性格がよく分かるエピソードを明かしています。
お祖父さんの「自慢は恥」という教えは、確かに大谷選手に受け継がれていますよね。
◆インタビュアーの失言をサラリとまとめる好青年ぶり
大谷選手はチームメイトだけでなく、相手チームや選手にもリスペクトの姿勢を忘れることはありません。
エンゼルスが勝利した試合後のヒーローインタビューにおいて、ある国内メディアが
「最近ちょっと下位のチームに取りこぼす試合が続いていたんですが、今日はしっかり勝ち切った試合に見えましたがいかがでしたか?」
と大谷選手に問いかけたことがありました。
この質問は「下位」や「取りこぼす」など、相手チームに対して少し配慮に欠けるものでした。
大谷選手も気になったのか、やや厳しめの表情になりながらも
「取りこぼすという表現が適切かどうかはわからないんですが、みんな一生懸命に頑張っているので、相手がどのチームでもその気持ちは変わらないです。
明日も試合がありますし、この後も遠征が続くので切り替えて頑張りたいなと思います」
とインタビュアーを強く諭すこともせず、上手にサラリとまとめ上げました。
この様子は日本人ファンを中心にSNS上で拡散され、多くの称賛の声が寄せられました。
◆英語でスピーチ 爽やか笑みでジョーク - 抜群のコミュ力
常に謙虚な姿勢を忘れず、時に私たちの想像の遥か上のコメント力も見せる大谷選手。
その一端は、ア・リーグ新人王を受賞したときにも見て取れます。
移籍1年目となった2018年。開幕前にはメジャーのレベルにないなどの酷評を受けましたが、そういった懐疑的な声を吹き飛ばす活躍を果たし、ア・リーグ新人王に輝きます。
エンゼルスの球団公式ツイッターが、ニューヨークで行われた全米野球記者協会(BBWAA)の夕食会での大谷選手のスピーチの映像を公開。
エンゼルスのビリー・エプラーGM(当時)に紹介された大谷選手は、通訳を伴わずに1人でスピーチ台に立つと
「ありがとうございます。まず、多くの素晴らしい選手たちとこのステージにいられることは光栄です。皆さん、おめでとうございます」
と両リーグのMVP選手、サイ・ヤング賞投手、ナ・リーグ新人王のロナルド・アクーニャJr.選手らに、英語で祝福の言葉を贈りました。
会場から拍手喝采が沸き起こる中、大谷選手は続けて
「このような素晴らしいイベントを開催してくださった全米野球記者協会、私に投票してくださった記者の皆様に感謝いたします。
そして、初日から温かく迎えてくださったエンゼルスに感謝いたします。
アート・モレノ・オーナー、ジョン・カルピノ球団社長、ビリー・エプラーGM、私と私のビジョンを信じてくださり、ありがとうございます。
チームスタッフの皆さんは、いつも私が快適に感じるようにしてくださりました。皆さんに感謝いたします。
今夜お集まりいただき、ありがとうございます。
サポートしてくれたチームメートたちに感謝いたします。
代理人のネズ・バレロ氏のサポートにも感謝いたします。
最後に、日本からはるばるここに来てくれた両親に感謝します」
とエンゼルス関係者だけでなく、自らを取り巻く野球環境全て、そしてご両親に対しても感謝の意を述べました。
英語が苦手と揶揄されていた大谷選手によるこの完璧なスピーチには、会場中から大きな拍手が送られ、このスピーチを聞いたある記者は
「オオタニの耳にも記者からの酷評ぶりは聞こえてきたはず。
それなのに彼はそのことに一言も触れずにありがとうと言ってのけた。
これはなかなかできることじゃないよと」
と語っています。
大谷選手は最後に
「エンゼルスファンの皆さん、ありがとうございます。
次回ここに立つ時はこのカンニングペーパーが必要ないといいのですが」
と締めくくり、それまで見ていた白い紙を左手で軽く掲げて見せました。
感謝する姿勢とともに抜群のユーモアセンスも交えてみせた大谷選手には、世界中から絶賛の声が相次ぎました。
◆「支えてくれた全ての方に感謝」MVP満票受賞に絶賛の声
「自らを取り巻くどんな人にも感謝と気配りを忘れない」
大谷選手のそんな姿勢がよくわかるエピソードがあります。
2021年シーズン、投手として9勝156奪三振、打者として46本塁打100打点をマークし、満票でア・リーグMVPを受賞。
MLB公式ネットワークの特集番組にオンライン出演した大谷選手は
「すごくうれしいですし、投票してくれた記者の皆さんやチームメート、監督コーチ、ファンの皆さん、トレーナーと手術をしてくれた医師の皆さん、支えてくれた全ての方に感謝しています」
と冷静に、そして少しはにかみながら感謝の言葉を述べました。
ともに戦う同僚や応援してくれるファンだけでなく、トレーナーやドクターにまで感謝の意を表したこのコメントは、多くの共感と感動を呼びました。
さらに「MVPを想像していましたか?」との質問に対しても
「取りたいなとはもちろん思っていましたけど、それでも日本で最初にやるってなったときよりは、アメリカに来たときの方が、受け入れられる雰囲気っていうのがあったので、アメリカ全体のファンの人だったりチームだったりに感謝している」
と、さらに多くの人々に感謝の言葉を述べています。
大谷選手の感謝の気持ちは、球団やファンなど野球を愛するすべての人に向けられており、そこには敵も味方も国の違いもないのです。
◆「審判生活29年で大谷選手だけ」ベテラン審判も感銘
NPBで長年審判を務めてきた佐々木昌信氏も、若き日の大谷選手の気遣いに感銘を受けたと語っています。
佐々木氏は自著の中で
「(後年の)私は四十肩で、ファウルボールのあと、ボールをもうピッチャーに投げ返せなかった。そういうのをうっとうしがるピッチャーは多いです。
だから、なるべくキャッチャーに渡していたんですが、どうしても1度投げなくてはいけない場面になったとき、大谷翔平選手は(それを)察してくれたんです」
と日本ハム時代の「投手・大谷」のエピソードを紹介。
大谷選手はイニング交代でマウンドに上がる際に、まず佐々木氏のところに駆け寄り
「佐々木さん、肩、痛いでしょうから、ボールを取りにきました」
と主審を務めていた佐々木氏を労ったそうです。
佐々木氏は
「審判生活29年、そういう気遣いをしてくれたピッチャーは大谷選手だけでした」
と当時高卒ルーキーとして売り出し中だった若き大谷選手の気配りに感動したと語っています。
さらに打者としてバッターボックスに入るときにも
「どの選手にしても、第1打席に球審に『こんにちは』とか『お願いします』と入ってきますが、大谷選手は、必ず『佐々木審判、こんにちは』って苗字を付けてくれました」
と大谷選手の人間性を絶賛。
佐々木氏は、そうした気配りや人柄が、大谷選手がメジャーリーグでも多くの人々に愛される理由だとしています。
WBC優勝後のインタビューで
「日本だけでなく、韓国もそうですし、台湾も中国もまたその他の国も、もっともっと野球を大好きになってもらえるように、その一歩として優勝できたことがよかったかなと思いますし、そうなってくれることを願っています」
と語った大谷選手。
ともすれば勝利に酔い、感情を爆発させてもおかしくない場面においても、野球界の発展を案じられるのは、世界広しと言えども大谷選手だけでしょう。
入団しなかった球団に手紙を送ったり、チームメイトやファンだけでなく医師やトレーナー、記者や審判にも、常にリスペクトの姿勢を忘れない大谷選手。
誰よりも高い目線と広い視野、そして深い野球愛を持っているからこそ、大谷選手は世界中の野球関係者から愛されているのです。
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