2014年以来のプレーオフ進出を目指すロサンゼルス・エンゼルス。

大谷選手やトラウト選手らの主力戦力、オフに新たに補強した新戦力に加えて、オホッピー捕手やネト選手、モニアック選手などのフレッシュな若手野手が、良い相乗効果を生み出し、リーグ屈指の強力打線を形成しています。

昨季と比較しても、打率、出塁率、長打率共に向上しており、1試合平均の得点は3.85点から5.19点と大幅にアップ。

昨季までは、一度リードを許し、トラウタニ砲が抑えられると、そのままズルズルと敗戦する試合が多く見られました。

しかし今季は、1番から9番まで、どこからでも得点が期待でき、相手投手陣を震え上がらせています。


◆バースデー先頭打者弾!新リードオフマン・モニアック選手

5月13日のクリーブランド・ガーディアンズ戦では、フレッシュなルーキーたちが躍動しました。

この日「1番・左翼」で今季初のスタメン出場を果たしたミッキー・モニアック選手の第一打席。

右腕カル・クアントリル投手の5球目の外角カーブを完璧にとらえると、打球は一直線に右翼席に飛び込む飛距離113メートルの先制弾となりました。

さらにこの日はモニアック選手の25歳の誕生日。

中継局の実況は

「ミッキー・モニアックが誕生日に先頭打者本塁打を打ちました!エンゼルスの歴史では初めてのことです!」

と球団史上初の快挙を興奮気味に伝えました。

モニアック選手は、2016年ドラフトでフィラデルフィア・フィリーズから1巡目、全体1位で指名された超有望株。

昨年8月のトレードでエンゼルスに加入しましたが、移籍早々に左手の指を骨折。
故障明けの9月の試合で、またしても死球を受けて負傷交代と、昨季は不運続きでした。

しかし、今季は3Aで打率.308、8本塁打、23打点、OPS.940と好調をアピールし、メジャー昇格。

度重なる怪我を乗り越えたメジャー1号に、フィル・ネビン監督も

「私もうれしい。バースデーボーイ、昇格1日目、彼は多くのことで頑張ってきた。それがスイングに見て取れた。去年はああいうのはなかった」

と、この試合3安打1打点2盗塁と活躍した、リードオフマンに目を細めました。

今季のエンゼルスは、マイク・トラウト選手、テイラー・ウォード選手、ハンター・レンフロー選手が形成するリーグ屈指の外野陣。

これまでレギュラー組の休養日には、ルイス・レンヒフォ選手やジェイク・ラム選手、ブレット・フィリップス選手がその穴を埋めていましたが、ここに攻撃力のあるモニアック選手が加わった意義はとても大きいといえます。

ウォード選手や現在マイナーでプレーしているジョー・アデル選手らにも刺激となることは間違いありません。

チーム内競争が激化することで、さらに選手層も厚くなることでしょう。


◆22年ドラフト組一番乗りでメジャー昇格!好守好打のネト選手

フィル・ネビン監督が

「今季一番クリーンな試合だったと思う」

と語ったこの試合。新戦力の台頭という“希望の光”は、モニアック選手だけではありません。

この日、好守で抜群の存在感を示したのが、昨年ドラフト1巡目で入団した若干22歳のルーキー、ザック・ネト選手です。

ネト選手は、今春のオープン戦で16試合に出場し、OPS.828を記録すると、マイナーでも好調をキープ。

4月15日、デビッド・フレッチャー内野手に代わって2Aから飛び級でメジャー初昇格を果たしました。

入団から1年にも満たない選手のメジャーデビューに、「時期尚早では?」と懐疑的な言葉も聞かれましたが、5月9日のアストロズ戦では、逆方向にメジャー初本塁打を放つなど、パンチ力も披露。

攻守に渡って高い運動能力を見せ、あっという間に遊撃のレギュラーを勝ち取りました。

ネト選手は、内野全ポジションをこなせる器用さと、学生時代は投手も兼任するなど二刀流選手としてならした強肩も持ち味です。

モニアック選手が鮮烈なデビューを飾ったこの試合でも、7回アンドレス・ヒメネス選手の放ったショート後方の難しいフライをスライディングキャッチすると、ファーストへ矢のような送球。

ハーフウェイに飛び出していたガブリエル・アーライズ選手も戻りきれず、併殺に仕留めました。

これに気分をよくしたのかネト選手は、続く8回には貴重な追加点となる2号2ランも放ちました。

一時期不調のウォード選手に代わって1番を打つこともありましたが、 現在の打順は9番。

ネト選手は

「相手投手はオオタニやトラウトに神経が行っていて、僕には甘い球を投げがちなので、それを確実に捉えて振り切るようにしている。確実に塁に出るのが僕の役目」

と上位打線につなぐバッティングを心がけていると明かしています。

ネビン監督も

「9番を打つネトは、2巡目からはトップバッターの役割も果たせる」

と高く評価しています。

怪我で離脱しているローガン・オホッピー捕手を加えて、モニアック選手、ネト選手の3人が、これからのエンゼルスを担っていくコアとなっていくことは間違いないでしょう。


◆選手層が充実「シーズンを戦い抜ける戦力が整った」

MLBのレギュラーシーズンは162試合と長丁場。
長距離の移動に加え、連戦も多く、シーズンを通して戦い抜くには控え選手の起用が不可欠です。

昨季のエンゼルスは、主力選手が離脱すると一気に戦力が低下し、連敗を止めることができませんでした。

しかし今季は
内外野守れるユーティリティプレーヤー、ブランドン・ドルーリー選手

堅実な守備とシュアな打撃が魅力のジオ・ウルシェラ選手

強肩強打の外野手、ハンター・レンフロー選手
のオフに獲得した新加入3人組が機能。

特に内野陣で言えば、先程紹介したネト選手が、長年ネックだった遊撃ポジションにピタッとハマったこともあって、調子や相手投手との相性、各選手の休養日に合わせてベストなオーダーを組めるようになっています。

堅実な打撃でチームの4番に座っていたアンソニー・レンドン選手が離脱した5月14日の試合では、ウルシェラ選手が三塁を、ドルーリー選手が一塁を守りました。

このように、複数ポジション守れる選手が多くいれば、不運な怪我による離脱にも対応できる上、主要な選手を休ませながらタフなシーズンを乗り切ることができます。


(恐怖の下位打線!「どこからでも得点を狙える」)

今季ここまで、ドルーリー選手は打率こそ.250を切っていますが7本塁打22打点、一方ウルシェラ選手は本塁打こそまだ1本ですが.300前後の打率をキープし、前述のネト選手らとエンゼルス恐怖の下位打線を形成しています。

5-4と逆転勝ちを収めた5月12日のガーディアンズ戦では、ウルシェラ選手、ドルーリー選手の2人が活躍するシーンが見られました。

2点ビハインドの4回1死二塁から、左翼への適時打で出塁したドルーリー選手は、続くウルシェラ選手が右中間に放った当たりで一気に本塁を狙います。

ギリギリのタイミングでヘッドスライディングすると、転げながらも右手を伸ばしてホームにタッチ。

一度はアウト判定が下されましたが、リプレー検証の結果、右手がわずかに先にベースにタッチしており、セーフに覆りました。

エンゼルスの地元放送局「バリースポーツ・ウエスト」の解説マーク・グビザ氏は

「ドルーリーは素晴らしいスライディングをしました。ドルーリーの走塁はスパゲッティのようだった」

と、ドルーリー選手の身のこなしを称賛しました。

さらにこの後、ネト選手の適時打で一挙に逆転。

エンゼルス恐怖の下位打線の活躍で、チームの連敗をストップしました。


(リーグNO.1の鉄砲肩!イチローばりのレーザービーム)

新加入組の3人め、レンフロー選手も、ここまでチームトップの10本塁打を放つなど打線に迫力を加えています。

強打に加えて、昨季リーグ1位の捕殺数を記録した強肩も魅力。

5月13日のガーディアンズ戦では、イチローばりのレーザービームでスタンドを沸かせました。

モニアック選手の先頭打者弾で1点をリードして迎えた1回裏。

1死二、三塁のピンチの場面で、ジョシュ・ベル選手の打球がライト後方に上がります。

三塁走者のタッチアップは確実でしたが、助走をつけて捕球したレンフロー選手は豪快なレーザービームで三塁へ送球。

これが見事なコントロールでタッチアウトを奪い、しかも三塁走者がもたついてホームベースを踏む前の補殺だったため、相手に1点も与えないダブルプレーとなりました。

かつてエンゼルスでも活躍した名手のマーク・グビザ氏も

「ハンター・レンスロー!あっという間にピンチを失点ゼロで終わらせた!」

と、レンフローとスローを掛けたジョークを交えて大興奮。

『MLB公式サイト』のエンゼルス番、レット・ボリンジャー記者も

「レンフローが驚異的な強肩でものの見事にロサリオを刺した。
ガーディアンズはビデオ判定を求めたが、結果は明らかだったね」

と自身のツイッターでレンフロー選手の鉄砲肩と好判断を称賛しました。

MLB公式のデータサイト『MLB STATS』は

「これで2017年以降、ハンター・レンフローが記録した外野手補殺は60回に達した。
同期間に限定すれば、2位以下に12回もの差をつける圧倒的1位」

と圧倒的とも言えるレンフロー選手の強肩ぶりを伝えました。


◆正捕手スタッシ不在も打てる代役捕手

フレッシュなルーキーの台頭と、新加入の期待以上の活躍で、リーグ屈指の打線を形成しているエンゼルスのウィークポイントが「正捕手」です。

昨季、大谷選手の登板した28試合中26試合でバッテリーを組んだマックス・スタッシ捕手が開幕前に負傷者リスト入り。

さらにスタッシ捕手に代わり開幕からマスクを被ったローガン・オホッピー捕手も怪我で今季絶望となってしまいました。

わずか16試合でチームトップタイの4本塁打を放ち、大谷選手との相性も良かったオホッピー捕手の離脱にはファンから悲鳴が上がりました。

エンゼルスは開幕早々、チャド・ウォラック捕手、マット・サイス捕手の2名でのやりくりを強いられることとなりました。

一塁手も兼任するサイス捕手はキャッチングなどでやや劣る部分もありますが、左打者ということもあり24試合に出場し、打率も.300前後をキープしています。

また、大谷選手とバッテリーを組むことが多いウォラック捕手も、11試合で打率.314、本塁打3本と好成績を残しています。

打線の穴になりがちなキャッチャーというポジションで、サイス捕手、ウォラック捕手ともに、チームの得点力向上に貢献していると言えるでしょう。

5月に入ってエンゼルスは、第3の捕手としてマイナーからクリス・オーキー捕手をメジャー昇格。

また、ガーディアンズから自由契約となったメイブリス・ビロリア捕手を獲得するなど、スタッシ捕手が復帰するまでは今後も模索が続きそうです。


◆139m超特大弾!あわやサイクルヒットで今季5勝目

最後に大谷選手の活躍をご紹介いたします。

5月15日のオリオールズ戦、大谷選手は「3番・投手兼DH」で先発出場。

今季初となる「リアル二刀流弾」をかっ飛ばし、ベーブ・ルース生誕の地ボルチモアで、ファンの度肝を抜きました。

4-4の同点で迎えた4回の第3打席。

ランナーを二人置いて、相手先発グレイソン・ロドリゲス投手の初球カーブを振り抜くと、打球はものすごい勢いで伸びていき、あっという間に右翼席へ。

打球速度114.6マイル(約184.4キロ)、飛距離456フィート(約139メートル)の超特大弾。

打った瞬間にそれと分かる勝ち越し3ランに、場内も騒然となりました。

『MLB公式サイト』のブレント・マグワイア記者が

「飛距離456フィート、打球速度114.6マイル、ショウヘイ・オオタニの勝ち越し3ラン。
オオタニの基準を考えても絶対的な特大弾だった」

と速報すると、米カリフォルニア州地元局『バリー・スポーツ・ウェスト』の中継で実況を務めるパトリック・オニール氏も

「オーマイグッドネス、ショウヘイ・オオタニが456フィートの3ランを放った。彼はいま登板しているんだぞ……sugoi(凄い)」

と驚きを隠せず。

さらにこの日大谷選手は、3回の第2打席に右前安打、5回の第4打席に三塁打を放ち、今季二度目のサイクル安打に王手。

惜しくも9回の第6打席はシングルヒットに終わりましたが、今季初の4安打で自らの5勝目に華を添えました。

米スポーツ専門メディア『ジ・アスレチック』のブリタニー・ギローリ記者は

「ショウヘイ・オオタニに対して誰かが1兆ドル(約136兆3630億円)を払うことになるのだろう。
(契約した場合に実際に支払われるのは)5億ドル(約682億円)の方が正しいのかもしれないけど、それも驚くべき数字であり、北米のプロスポーツ記録をほとんど間違いなく打ち破るだろう」

と改めてその価値を強調。

「オオタニが絡むと毎晩が歴史の授業だ。
だからこそ、オオタニの将来の価値を定量化するのは不可能なのだ。オオタニは近代の驚異だ」

と大絶賛しました。


エンゼルス打線は、ネト選手、モニアック選手ら若手に加え、レンフロー選手ら新加入組の活躍で、昨季を大幅に上回る攻撃力を手に入れました。

救援陣を始めとして投手陣にはまだまだ不安が残りますが、今のエンゼルスには「打たれても打ち返せる」得点力があります。

レンドン選手やウォルシュ選手など離脱中の選手が復帰すれば、さらに強力な打線となるはずです。

守備面も安定してきており、昨季ア・リーグ西地区3位からの巻き返しに向け、明るい光が差してきているように感じます。



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