ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手が、4月27日の本拠地アスレチックス戦に「3番・投手兼DH」で出場。
投げては6回8奪三振5四死球の内容で無傷の4連勝、打っては5打数3安打1打点の活躍でチームの勝利に貢献しました。
この試合前まで防御率0.64と驚愕の数字をマークしていた大谷選手でしたが、突如の乱調を見せ5失点。
「宇宙人であることをバレないように振る舞ったのでは?」
と言ったジョークめいた説も飛び交いました。
さらにこの試合において大谷選手は、単打・二塁打・三塁打を放ち、自身二度目となるサイクル安打に王手。
野球史上初となる「勝利投手によるサイクル安打」達成の瞬間に、ファンも米識者も注目を寄せました。
今回の動画では、大谷選手の投打に渡る活躍とともに、突如乱調となった本当の理由や、この試合で達成された野球史に刻まれた記録について、ご紹介いたします。
◆3回9人パーフェクト「テレビゲームのようなスイーパー」
初回からエンジン全開の大谷選手は、3回をパーフェクトに抑える絶好の立ち上がり。
変化球、ストレートも抜群のキレを見せ、本拠地での無失点記録を35イニングまで伸ばしてノーラン・ライアン氏を抜いて球団史上2位の記録をマークしました。
特に「魔球・スイーパー」のキレは凄まじく、相手打者に全く仕事をさせませんでした。
3回先頭打者の7番アレドミス・ディアス選手を空振り三振に仕留めたボールは、どこにホームベースがあるのかわからないほど大きく変化。
ディアス選手もスイングした直後にお手上げの様子でした。
「ピッチング・ニンジャ」の愛称で知られる投球分析家のロブ・フリードマン氏が
「ショウヘイ・オオタニが反対のバッターボックスの真ん中へのスイーパーで空振り三振を奪う」
とコメントを添えて動画を公開すると、ファンからは
「えげつない!この球はどんどん良くなる」
「テレビゲームのような球」
「こんなに外れても振っちゃう魔球」
と続々と反響が寄せられました。
◆完全ペース→2被弾5失点の大異変「正体がバレないように人間のフリをした」
3回裏に自らのタイムリーやブランドン・ドルーリー選手の3ランなどで5点の援護をうけた直後の4回表のマウンドでは、まるで別人かのような大乱調。
死球、盗塁、暴投、四球のあとに3ラン、さらに死球の後に2ランを浴び、同点に追いつかれてしまいます。
完璧と思われた「投手・大谷」の異変に、早朝から日本人ファンも大揺れとなり「完全試合ペースだったのに...一体何が起こったの?」と心配の声が上がりました。
米スポーツ専門局『ESPN』も
「彼は最初の9人の打者を連続で抑え、そのうち5人から三振を奪った。
しかしながら、4回、オオタニは36球を要し、5点リードを追いつかれた。
球界最高の投手の1人へと成長した二刀流のスターにとっては珍しいことだった」
と驚きをもって報じました。
この突然の乱調について、ある米メディアがユニークな“珍説”を唱えて話題となっています。
3回のマウンドからピッチコムが故障し、この回もマウンド上の大谷選手が顔をしかめながら通信状況を何度もチェックする姿が見られると、米データ分析会社『コーディファイ・ベースボール』の公式ツイッターが
「ショウヘイ・オオタニはエンゼルスタジアムで35イニング連続無失点中だったため、故郷の惑星は、正体がバレないように人間らしく見えるようにしろと試合中に電話した。とても賢い」
と、この一連のシーンとともに公開。
異次元のパフォーマンスから、時として「エイリアン」と評される大谷選手が、人間らしく振る舞った結果だとジョークを飛ばしました。
エンゼルスのフィル・ネビン監督は
「3回裏の攻撃で、ショウヘイはツーベースヒットを打って、そのあとホームに生還したから、攻守交代の時間を追加してもらえなかった。だから、早く守備に向かわないといけなかった。
タイムを取ったりしようと色々考えたが、やはりショウヘイにとってはタフな状況で始まったイニングだったと思う」
と攻守交代の時間が慌ただしかった点を原因に上げ
「ショウヘイも人間だ。みんなは『何が起きた?』って感じだったけど、失点することだってある。私は『殴り合いの試合だから、やってやろう』って言った。
スタジアム全体も『どうした?』っていう雰囲気だったけど、何も起きていない。
投手はストライクを投げなければいけないし、メジャーリーガーがスイングしたら時に打つことがある」
と冷静に分析しました。
突如の乱調で同点に追いつかれてしまいましたが、「投手・大谷」はここからが違います。
4回も後続を断ち切ると、5回、6回にもマウンドに上がり、再び相手打線を沈黙させました。
ネビン監督も
「何球か101マイル(約162.5キロ)を投げた。彼は完璧主義者だし、最高の選手になることを望んでいる。実際に最高の選手だ」
と5失点も、以降の2イニングを無失点に抑えたエースを絶賛しました。
この日、マスクを被ったチャド・ウォラック捕手は
「ああいう投球はあまり見ない。(前の回)彼はしばらくの間、ベース上にいた。
彼にもう少し時間を与えるために、個人的にもう少し何かできたと思う」
と、その原因の一つとして3回に出塁した際の攻守交代をあげ
「素晴らしい選手なので立ち直ることができた。5、6回はあっという間に抑えた」
と一度崩れてもそのままでは終わらない「投手・大谷」の修正能力を称賛しました。
地元放送局『バリースポーツ・ウエスト』で解説を務めるマーク・グビザ氏が
「彼の奮闘が大好きです。4回は非常に苦しかったですが、彼のお陰で、彼自身もチームも勝利が可能となりました」
と5点を失いながらも6回までマウンドに立ち続けた姿に賛辞を送ると、エンゼルスOBのギャレット・アンダーソン氏も
「彼も人間ですからね(笑)。中盤(4回)に少し捕まった後の2回を無失点に抑え、息を吹き返したのが素晴らしかったですね。彼がやること全て、歴史に触れているかのようです」
と「投手・大谷」を称えました。
大谷選手本人は、試合後のインタビューで、指摘されたピッチコムの故障や、攻守交代については否定した上で
「今季1番調子は良かったんじゃないかなと思います、本当に4回だけ。
ちょっと守りに入ってしまった。勝たなければならない、抑えなければいけない。攻めの気持ちが少し足りなかったかなと思います」
と振り返り
「そこまでランナーを背負ってスライドステップで投げていないところで、多少バランスやタイミングが探り探りになってしまった。メンタル的な部分より技術的な部分かなと思います」
と自らの反省点を冷静に分析しました。
5失点後も続投したことについては
「5点取ってもらって、取られて申し訳ない気持ちはもちろんありますけど、オフェンスに参加している1人として、ここからしっかり立て直したいという気持ちだった。
そこから2回しっかり抑えられたというのが1番良かったところかと思います。また今後もありますし、良い経験にはなったかなと思います」
と投打でチームの勝利に貢献できた喜びを語りました。
大量点をもらった直後に四死球や本塁打絡みで同点に追いつかれたら、一流の投手でも立ち直るのは至難の業です。
そこから冷静に分析してその後しっかりと抑えるあたり、やはり大谷選手は並外れたメンタルと才能の持ち主と言えます。
◆「あわやサイクル安打?」爆足内野安打・先制二塁打・右超え三塁打
この試合、思わず人間らしいところを見せた「投手・大谷」でしたが、「打者・大谷」は人間ばなれしたパフォーマンスを披露してくれました。
初回、二塁への内野安打で2試合連続安打をマークすると、続く3回の第2打席では先制となる適時二塁打。
さらに6回の第3打席には右超えの三塁打を放ち、2019年6月13日のタンパベイ・レイズ戦以来となる自身二度目のサイクル安打達成に王手をかけます。
8回一死1、2塁の場面で迎えた第5打席。快挙達成の瞬間を見届けようとスタジアムはひときわ盛り上がりを見せました。
代わったばかりの左腕リチャード・ラブレディ投手の初球を捉えた大谷選手の打球はセンターへ。
打った本人も一瞬動きを止めて飛んだ打球を見つめましたが、わずかに伸びが足りず、フェンスまであと1、2メートルというところで中堅手エステウリー・ルイーズ選手に捕球されてしまいました。
この試合を中継していた地元放送局「バリー・スポーツ・ウェスト」の実況、ウェイン・ランダッゾ氏も興奮のあまり先走り。
打った瞬間に
「オオタニがかっ飛ばした!右中間へ!野球の歴史がショウヘイのものに!」
と興奮気味に実況しましたが、中堅手が捕球すると
「しかし、フェンス手前でルイーズにキャッチされた。あとほんの少しでした」
と意気消沈した様子で伝えました。
同局で司会を務めるケント・フレンチ氏も
「エンゼルスタジアムでの『ショウヘイ・デー』は失望させませんでした。
奇跡的な活躍です。この展開は私としては予想外の脚本でした。
彼は突然、歴史を作る目前でしたね。信じられないパフォーマンスでした」
と二刀流スターによる偉業寸前の活躍に驚きを伝えました。
このランダッゾ氏による幻のサイクル安打実況に米メディアも反応。
米スポーツ専門局『CBSスポーツ』が
「打った瞬間行ったかと思った。エンゼルス実況のウェイン・ランダッゾ氏も間違いなく行ったと思った。
彼はボールが中堅手のエステウリー・ルイーズのグラブに収まる前に、ホームラン実況を繰り出した。興奮せずにいられなかったのだろう」
と伝えると、米紙『USAトゥデー』のスポーツとエンタメ専門メディア『フォー・ザ・ウィン』も、
「ショウヘイ・オオタニがサイクル達成まであまりにわずかなところまで迫ったので、彼はエンゼルスのTV実況さえも騙した」
との見出しで報道。
「彼はとても惜しかった。オオタニはエンゼルスの実況ウェイン・ランダッゾを騙したぐらいだ。ランダッゾのこの実況を聞いてくれ。彼はちょっと先走ってしまった」
と動画付きで紹介し、大興奮から意気消沈の実況について「残酷なほどおもしろい遷移だ」と伝えました。
大谷選手自身もわずかに届かなかった快挙には悔しかった模様で、ベンチに戻ると右手にヘルメットを持ちながら「うわ〜」といった口ぶりで、目を閉じて天を仰ぎました。
この様子を、米スポーツ専門局『FOXスポーツ』のアナリスト、ベン・バーランダー氏がツイッターで動画を公開。
二刀流スターが垣間見せた「人間らしい表情」にファンからは
「やってもーた!って大谷の悔しそうな顔」
「悔しそうな大谷さんも可愛いな」
「ベンチに戻ってからも残念そうに苦笑いしてたねー」
などのコメントが寄せられました。
◆サイクル未遂も100年初の快挙!他にも新記録続々
試合後、ネビン監督が
「間違いなく頭によぎった。全員もそう思っていたと思う。ドキドキして、みんなが彼に心をクラッシュされたね(笑)。
打った瞬間の音がいつものHRの時と違ったけど、それでも期待したよね。
野球事典を見なくてもいいと思うが、サイクルヒットを達成して勝利投手になった選手は今までにいないだろう」
とコメントした通り、先発投手によるサイクルヒットは未だ誰も成し遂げたことのない記録です。
未遂となった歴史的偉業でしたが、実は第3打席の三塁打の時点で大谷選手は未踏の域に到達していました。
米スポーツデータ会社『コーディファイ・ベースボール』が
「ショウヘイ・オオタニは、1923年以後で初めて同一試合で8奪三振をマークし、安打、二塁打、三塁打を記録したメジャーリーガーになった。とにかく尋常じゃない」
と二刀流スターの快挙を紹介。
6回8奪三振3安打5失点で勝利投手となった大谷選手は、打っては5打数3安打1打点で、100年間の歴史の中で初の記録を打ち立てました。
さらに許した安打は2被弾含めてわずかに3本。昨年から続く被安打3以下の登板を10試合連続に伸ばしました。
『MLB公式サイト』のサラ・ラングス記者が
「マウンドからホームベースまでの距離が18.44メートルになった1893年以降で、典型的な先発投手の中では2021年のジェイコブ・デグロムと並ぶ最長タイ記録」
とMLB記録に並んだことを伝えた上で
「今季の被打率.102は、1916年以降の30イニング以上投げた投手の中で、シーズン最初の6先発登板では最も低い数字」
と「投手・大谷」による新たな記録更新を伝えました。
さらに、初回の内野安打の際に記録した一塁到達タイムは4.02秒で今季球団最速。
今季チーム内での本塁から一塁への到達タイムトップ5は全て大谷選手が独占してます。
打球速度、飛距離、球速、奪空振り数の投打各部問でMLBトップ5入りしており、2023年シーズンもすでに大谷選手の一人舞台となっています。
4月14日のレッドソックス戦から始まった17連戦においても、全試合出場は大谷選手唯一人。
大谷選手が現在最も偉大な選手で、地球上でも屈指の偉大なアスリートであることに異論を唱える人はいないでしょう。
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