大谷翔平選手が、シーズンで最も活躍した選手に贈られるMVP=最優秀選手に選ばれました。

しかも投票した記者30人全員が1位票を入れる満票で受賞。

満票での選出は、2021年と合わせて2度目となり、これはMLB史上初めてのことです。

大谷選手はメジャー6年目の今シーズン、打者として44本塁打を放ち、アジア出身選手として初となるホームラン王を獲得。

ピッチャーとしても10勝をあげ、大リーグ史上初となる2年連続での「二桁勝利&二桁HR」を達成しました。

受賞の報を受けた大谷選手は、今季良かった点として

「投打のバランスがよかったと思うし、高いレベルでこなせた」

と振り返り、2度目の受賞については

「去年、もちろん取りたかったですけど、ジャッジ選手もすばらしかったですし、今年もシーガー選手、セミエン選手もワールドシリーズ優勝したようにすばらしい年だったなと思うので、それに負けないぐらいのシーズンにしたいなと思っていましたけど、個人的にこうやって取れて、特別なことだなと思います」

と喜びを語りました

またナ・リーグでは、史上初の「40本塁打&70盗塁」を達成したアトランタ・ブレーブスのロナルド・アクーニャJr.選手がMVPを受賞。

アクーニャ.Jr選手も満票での選出となり、大谷選手と合わせて史上初の「両リーグ満票MVP」誕生となりました。

2018年には共に新人王に輝いた大谷選手とアクーニャ.Jr選手が、2023年シーズンは最も優秀な選手の栄誉に輝きました。

大谷選手はアクーニャ.Jr選手について

「打率も残せるし本塁打も打てる。守備も素晴らしいし走塁ももちろん素晴らしい。全部ができる選手じゃないかなと」

と、そのマルチな才能を高く評価。

アクーニャ.Jr選手も

「驚異的。まるでエイリアンのようだ」

と大谷選手にリスペクトを送っています。

この他にも

ナ・リーグのサイ・ヤング賞、パドレスのブレーク・スネル投手
「兄弟とオオタニのことをジョークで話すことがある。彼がどうやってあんな二刀流ができるのか、分からないよとね。彼のやることは、本当に信じられない」

ア・リーグのサイ・ヤング賞、ヤンキースのゲリット・コール投手
「僕には彼のやっていることが、考えられない。本当にすごい」

ナ・リーグの新人王、ダイヤモンドバックスのコービン・キャロル選手
「現実離れしている。何かエイリアンみたいだね」

ア・リーグの新人王、オリオールズのガナー・ヘンダーソン選手
「ユニコーン。この表現が一番ふさわしい」

メジャー史上初となる2度の満票MVPとなった大谷選手には、スター選手やレジェンド選手から、続々と称賛の声が寄せられています。


「シーズン100本打てる才能の持ち主。最高の相手と競い合いたい」アーロン・ジャッジ選手

まず一人目は、昨季62本塁打を放ち、ア・リーグのシーズン本塁打記録を塗り替えたニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手。

シーズン終盤は二刀流・大谷と本塁打王・ジャッジによるMVPレースにも注目が集まりました。

時には「投手・大谷」と、時には「打者・大谷」と、同一リーグで対決してきたジャッジ選手にとって、大谷選手はライバル心を燃やすような存在かと思いきや、少し違うようです。

「友達だよ。僕は彼の大ファンだし、打席だけじゃなくマウンドで戦う姿を見るのが大好きだ。ライバルというよりは、フレンドリーな競争だね。選手は最高の相手と戦いたいと思うもの。それに尽きる」

今季4月19日、中堅フェンスを越えそうだった大谷選手の打球をジャンピングで好捕した試合後にジャッジ選手が語った言葉です。

昨季はジャッジ選手がMVPを受賞しましたが、今季は大谷選手が前半戦までに本塁打を量産。
わずか1年でリーグ記録を塗り替えるのではと周囲をざわつかせる中、ジャッジ選手は

「記録は破られるためにある。ただの記録だし、破られたら野球にとっては素晴らしいことだと思う。63本以上も打つんだから。どうなるか楽しみだね」

と笑顔をみせた後

「自分も(野球人生が)まだ数年は残っているから、もし破られたら、また特別なことをする機会として挑戦するのみ」

と表情を引き締め、まだまだ続くであろう好敵手とのしのぎ合いに意欲を語りました。

究極の質問「大谷は投手、打者どちらが優れている?」と聞かれたジャッジ選手は

「マウンドで5~6球種を使いこなし、長いイニングを投げる彼を見るのも楽しいけど、(打者なら)彼を毎日見られる」

と「打者派」であると明かし

「右翼へ500フィート(約152m)飛ばしたり、内角のボールを中堅左方向へ飛ばすところはすごい。
フィジカル(肉体面)で言えば、(シーズンで)80本、100本でも打てるよ。それぐらいの才能がある」

と、そのパワーに賛辞を送りました。

さらにジャッジ選手は

「得点圏に走者がいる状況で、たとえ2ストライクと追い込まれても、しっかり打つことができるし、あの体の大きさで、三塁打でもトップを争っているのはとても印象的」

と大谷選手の打撃技術や走塁スピードについても絶賛。

最後に

「長い間、見られなかったようなこと。もしかしたら、彼がやっていることは、もう見られないかもしれない。驚くべき、世代を代表する才能の持ち主。彼を見て、戦えるチャンスがあることにとても感謝している」

と手放しで褒め称えました。

二人が切磋琢磨し合う来シーズンが今から楽しみでなりません。


「明らかに突出した才能。野球界でも最高のスイング」マット・オルソン選手

続いてご紹介するのは、今季54本塁打、136打点をあげナ・リーグの二冠王に輝いたアトランタ・ブレーブスのマット・オルソン選手です。

ブレーブスはチームとして、今季歴代最多タイの307本塁打を放ちメジャー新記録の長打率.501をマーク。

オルソン選手は、その「最強打線」を代表する中心選手です。

実はオルソン選手はブレーブスに移籍するまでは、オークランド・アスレチックスに在籍しており、「投手・大谷」のメジャーデビュー時の対戦相手。

オルソン選手はその当時を振り返り

「すごく三振をした記憶がある。対戦するまでは彼をあまり知らなかったけど、これは本物だと理解したよ」

あれから5年が経ち、2人ともリーグを代表する選手となりました。

「彼のデビューの時にオークランドにいたし、そこからずっと知っている。だから、彼と会った時は気軽なトークを楽しんでいるよ」

主に一塁を守ることの多いオルソン選手は、大谷選手が出塁した際、ベース上で談笑する姿が度々見られています。

5年前と比べて

「オオタニは大きくなって、強さも増した」

と進化を続ける同い年の大谷選手には見習うところがあると語っています。

オルソン選手は今季の大谷選手の打席を見て、その技術の高さに感嘆。

「ヒットを打って全部の打球速度が105とか110マイル(約169とか177km)。明らかに突出した才能。野球界でも最高のスイングの一人だから、ボールを長く見られるんだ」

と称賛しました。

大谷選手が怪我で欠場するまでは、共に両リーグトップの本塁打数を競い合っていたオルソン選手ですが

「リーグが違うから、気にはしていないよ。でもオオタニと比べられるのはクールなことだけどね」

と笑顔で語りました。

ブレーブスは、大谷選手の移籍先としても急浮上してきたチーム。

確率は低そうですが、もしオルソン選手との「オルタ二砲」が実現したら、二人で100本塁打を誇る超大型打線が完成しそうです。


「正直、あのモンスターを目覚めさせたくない」コリー・シーガー選手

続いて紹介するのは、ア・リーグMVPのファイナリストにも名を連ねたテキサス・レンジャーズのコリー・シーガー選手。

シーガー選手は今季、打率.327、33本塁打と打ちまくると、ポストシーズンでも好調をキープ。チームを世界一に導き、自身も2020年に続いて2度めとなるワールドシリーズMVPを受賞しました。

今年6月12日には、そのシーガー選手の眼前で大谷選手が19号同点ソロ、20号決勝2ランを放ち、エンゼルスの逆転勝利に貢献。

翌日の試合前には

「正直に言うと、あのモンスターを目覚めさせたくはないよ。彼には眠っていてほしいから、余計なモチベーションは与えないようにするよ」

と本音をポロリ。

数々のタイトルや栄誉に輝き、レンジャーズと10年3億2500万ドル(約480億円)の超大型契約を結ぶシーガー選手にとっても、大谷選手はひときわ驚異的に映っているようです。

また、同じくア・リーグMVPのファイナリストに選ばれていた、レンジャーズのマーカス・セミエン選手も

「彼がどうやっているのか、本当に分からない。最高の投手の1人であり最高の打者の1人だ」

と舌を巻き、畏敬の念を送っています。


「打席であふれる自信。ベスト選手と言って間違いない」ボー・ビシェット選手

続いて紹介するのは、トロント・ブルージェイズのボー・ビシェット選手。

年齢こそ25歳と大谷選手より年下ですが、二人にはある共通点があります。

大谷選手が投打二刀流でブレイクを果たした2021年、ビシェット選手も159試合に出場し、守備の要である遊撃のレギュラーに定着。21年、22年と2年連続で最多安打のタイトルを獲得しました。

大谷選手と並んでメジャーを代表する鉄人であるビシェット選手は

「ただ、毎日プレーしたいし、試合に出れば出るほど学べることがある。多くプレーすれば、失敗もたくさんある。うまくなる最も早い道は、失敗することだと思う」

と、試合に出続けることの大事さを語った上で

「でもショウヘイと比べれば全然できてないよ」

と世界一ストイックと言われる大谷選手のコンディション・コントロールに称賛の言葉を送りました。

二人の共通点はブレイク時期やその鉄人ぶりだけではありません。

「食べ物が大事だと思っているよ。水をたくさん飲んで、多く睡眠をとる。トレーニングだったり、他のこともあるけど、大事なのは食べて、水を飲んで、寝ることかな」

ビシェット選手は、試合に出続けるためには、よりよい食生活と睡眠が大事と語っており、この点でも大谷選手と通ずるところがあります。

ビシェット選手は大谷選手について

「今年の彼を見ていて、数字もそうだけど、全体的に前よりも断然、良くなっているように感じる。毎回、力強いスイングができるのは驚くべきこと。打席であふれる自信を見ても分かるが、彼がベスト選手と言って間違いない」

と、その驚異的なパフォーマンスを絶賛。

大谷選手を「ベスト選手」と評する理由について

「彼は全てが出来るから。フィールド上の誰よりもパワーがあり、スピードもある。信じられないほど危険なバッター。パワーヒッターであると同時に、いろんな球種をヒットに出来る。彼の打ち取り方は、おそらくないように思う。それは、特別なことだ」

と今や穴のないパーフェクト・スラッガーへと成長した「打者・大谷」を手放しで称賛しました。

試合に出続けることの難しさを知る鉄人・ビシェット選手。

その上で、パワー・スピード・テクニックと全ての分野で秀でた大谷選手のプレーに、ビシェット選手もリスペクトを示しているのです。


「オオタニはまたMVPになる。三冠王もサイ・ヤング賞もとれる」ミゲル・カブレラ選手

最後に紹介するのは、今季限りで引退したミゲル・カブレラ選手。

カブレラ選手は打撃三冠と2度のMVPを獲得、通算打率3割6厘、511本塁打、1881打点を誇り、メジャー最強打者の一人と言われています。

そんなレジェンド選手も大谷選手の大ファン。

カブレラ選手の大谷選手いじりは、ファンの間でも話題となっており、ベンチからジェスチャーを送りあったり、大谷選手が出塁した際にはちょっかいを出したり、時には隙を突いて股間をタッチするなんて場面もみられました。

カブレラ選手のこうしたコミュニケーションは大谷選手への期待の現れ。

メジャー1年目の2018年から二刀流のフル稼働を進言し、投打でのタイトル獲得に期待を寄せていました。

「三冠王もとれるし、サイ・ヤング賞もとれる。だけど、彼は打てるんだから、もっと試合に出ることだ。今は少しずついろいろ学んでいるんだろうけど、ピッチングをしている日に、打つことだってできるだろう。それはアンビリーバブルなことだ。ハッハッハ」

当時は笑い飛ばしながら語っていましたが、この助言は後に現実となります。

カブレラ選手は、早い時期から大谷選手の潜在能力の高さを見抜いていたのです。

その期待通り、大谷選手は秘めていた力を発揮。

4年目の2021年シーズンから投打二刀流プレーでほぼフル出場し、圧倒的な成績を収めて満票でMVPを獲得しました。

そして6年目となる今シーズン、大谷選手は日本人初となる本塁打王を獲得。

カブレラ選手は

「MVPだよ。再び彼がMVPになる。今年はケガをしてしまったけど、成績も良くなって、とても素晴らしかった。強く、健康で居続けることができれば、彼が三冠王になるチャンスはある。もっとも印象的だったのは、中5日でピッチングをしていたことだね。打者でプレーしながら登板することは、とても難しい。それを完璧にやって、投手と打者でハイレベルなパフォーマンスをしていたのは、本当に素晴らしかった」

と目を細めながら賛辞を送りました。

カブレラ選手は21年にも及ぶメジャー生活を振り返り

「十分やった。サポートしてくれた全ての人に感謝したい。最も大事なことは今、何をするかだ。次の年、2年後も考えるべきだが、いま自分がやるべきことをやる。毎日ね。それが一番大事なこと」

と自身の成功の秘訣についても語りました。

まさに限界まで戦い抜いたレジェンド打者の言葉。

投打フル回転で高みを目指し続ける大谷選手の姿と重なるところがありますよね。


投手として10勝をあげ、打者としては44本塁打を放ち、まさに「エースで4番」を体現してみせた2023年シーズンの大谷翔平選手。

アジア人初となる本塁打王に輝き、シーズンMVPには史上初2度目の満票受賞を果たしました。

肘靭帯の損傷につづき右脇腹を痛め、シーズン終盤に離脱する中での満票選出。

それだけ今季の大谷選手が投打において圧倒的なパフォーマンスを披露した証です。

先日のシルバースラッガー賞に続いて、最強の指名打者・エドガー・マルチネス賞やオールMLBなど、今後もまだまだ受賞ラッシュが続きそうです。


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