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(目次)
→投手編
2024年時 ドジャースの契約状況(投手)
2025年ドジャース投手陣の展望
(資料その1)24年オフにFAとなる主な先発投手
(資料その2)24年オフにFAとなる主なリリーフ投手
2025ドジャースの投手ロースター(先発・リリーフ)
2024年オフのトランザクション(移籍・契約)

→用語解説
選手オプション・球団オプションとは?
オプトアウトとは?
クオリファイングオファーとは?
ポスティングシステムと25歳ルールとは?
ルール5ドラフトとは?
ノンテンダーFAとは?

「野手編」はこちら




◆2024年時 ドジャースの契約状況(投手)



背番号太字はFA権取得済み(もしくは24オフ取得予定)

 」蛍光青色は25年の契約有り(予定含む)
 」蛍光黄色は25年の契約未定
 」蛍光紫色は25年の契約なしor引退

年俸赤文字が24年オフ、青文字が25年オフで契約切れ


◆二刀流

17 大谷翔平 右投 左打 10yr, $700M (2024-33)

◆投手

0 ジャック・フラハティ 右SP 1yr, $14M(2024)

18 山本由伸 右SP☆0 12yr, $325M (2024-35)

21 ウォーカー・ビューラー 右SP  1yr, $8.025M (2024) ※移籍

22 クレイトン・カーショウ 左SP 2yr, $10M (2024) ※選手に選択権 ※11/5 選手オプションを辞退 FAに

26 トニー・ゴンソリン 右SP※1 1yr, $5.4M (2025)

28 ボビー・ミラー 右SP☆2 1yr, $750k (2024)

29 マイケル・グローブ 右RP☆1 1yr, $750k (2024)

31 タイラー・グラスノー 右SP 5yr, $136.563M (2024-27)

35 ギャビン・ストーン 右SP☆2 1yr, $742.5k (2024)

40 ブレント・ハニーウェル 右RP☆0 1yr, $765k(2024)

40 ダニエル・ハドソン 右RP 1yr, $2M (2024) ※引退予定

43 アンソニー・バンダ 左RP※0 1 yr, $1M (2025)

45 マイケル・コペック 右RP※0 1 yr, $5.2M (2025)

48 ブルスダー・グラテロル 右RP※2 1 yr, $2.8M (2025)

49 ブレイク・トレイネン 右RP 2yr, $22M (2025-26)

51 アレックス・ベシア 左RP※1 1yr, $1M (2024)

57 ライアン・ブレイジア 右RP 2yr, $9M (2024-25)

59 エバン・フィリップス 右RP※0 1 yr, $6.1M (2025)

60 エドガルド・エンリケス 右SP/RP☆3 1yr, $740k (2024)

62 ザック・ローグ 左SP/RP☆0 1yr, $740k (2024)

63 カイル・ハート 右SP/RP☆2 1yr, $752,25K (2024)

70 ジャスティン・ロブレスキー 左SP☆2 1yr, $740k (2024)

75 コナー・ブログドン 右RP☆0 1yr, $715K (2024) ※outright→FA(LAAマイナー)

78 ベン・カスパリウス 右SP/RP☆3 1yr, $740k (2024)

79 ニック・フラッソー 右SP/RP☆2 1yr, $752,25K (2024)

80 エメット・シーハン 右SP☆2 1yr, $750k (2024)

85 ダスティン・メイ 右SP※0 1yr, $2.135M (2025)

96 ランドン・ナック 右SP☆2 1yr, $740k (2024)

99 ジョー・ケリー 右RP 1yr, $8M (2024)

--- ジャック・ドライヤー 左RP☆3

7 ブレイク・スネル 左SP 5yr, $1.8M (2025-29)


選手名の右側の☆はサービスタイム3年未満、※は3年以上5年未満。
マークの後ろの数字はマイナー・オプション年数








【2025年ドジャース投手陣の展望】



先発陣大谷山本グラスノーは確定。

とはいえ大谷は復帰シーズン。グラスノーは中盤に離脱した怪我からの回復が気になります。

カーショウ(選手オプション)とフラハティビューラーは25年はまだ白紙状態。

→カーショウは11月前半に足指・足底板・膝の手術予定

11/5 カーショウは選手オプションを辞退 FAに
→11/5 ビューラーにはQO(クオリファイング・オファー)提示せず
→12/24 ビューラーはレッドソックスに入団


ナックカスパリウスミラーと、故障組のゴンソリン('23/9 トミージョン手術)、メイ('23/7 右屈筋腱手術)、フラッソー('24/3 股関節手術)、シーハン('24/5 トミージョン手術)がどこまで機能するか?

ハートは8月にトミージョン手術を行い、25シーズンはほぼ全休の模様
→ストーンは10月に右肩の手術を行い、25シーズンは全休の模様


先発陣は不安材料が多く、今オフ補強の肝中の肝といってよいでしょう。


→先発投手の補強

11/27 SFGからFAとなっていたブレイク・スネル投手と5年1.82億ドルで契約。



リリーフ陣コペックブレイジアフィリップスは確定。

トレイネンケリーハドソンの契約は24年までとなっています。

→ハドソンは引退を表明しました

→トレイネンと2年22万ドルで契約延長


バンダベシアグローブ、移籍組のローグハニーウェルに、
故障組のブログドン('24/4 足底筋膜炎)、グラテロル('24/11 右肩)、9月昇格のエンリケス、新人左腕のドライヤーが続きます。

→11/15 ブログドンをマイナーへ降格(アウトライト)→FA
→11/15 グラテロルは右肩関節唇手術(復帰は後半)
→11/20 ドライヤーを40人枠に登録
→11/23 ハニーウェルと来季契約結ばす。ノンテンダーFA
→11/23 ローグと来季契約結ばす。ノンテンダーFA


リリーフ陣は先発ほど不確定要素は多くないですが、怪我人や経験不足の投手が多い上、左が少ないので、こちらもオフの補強は必至です。








(資料その1)24年オフにFAとなる主な先発投手


※年齢は2024年末時点。球団は'24所属。年齢降順

※名前赤字は移籍先決定

・シェーン・ビーバー 右 29歳 CLE→CLE
※'24は4月に肘の故障で2登板のみ

2登板|12回|2勝0敗|ERA 0.00
K率 15.00|被打率 .227|K/BB 20.00|WHIP 0.92
→12/7 ガーディアンズと2年契約との報道(2年目は選手オプション)

・ルイス・セベリーノ 右 30歳 NYM→ATH

31登板|182回|11勝7敗|ERA 3.91
K率 7.96|被打率 .243|K/BB 2.68|WHIP 1.24
→メッツはセベリーノにQO提示→辞退
→12/6 アスレチックスと3年契約との報道


・コービン・バーンズ 右 30歳 BAL→ARI

32登板|194.1回|15勝9敗|ERA 2.92
K率 8.38|被打率 .226|K/BB 3.77|WHIP 1.10
→オリオールズはバーンズにQO提示→辞退
→12/28 Dバックスと6年契約との報道


・マックス・フリード 左 30歳 ATL→NYY

29登板|174.1回|11勝10敗|ERA 3.25
K率 8.57|被打率 .226|K/BB 2.91|WHIP 1.16
→ブレーブスはフリードにQO提示→辞退
→12/11 ヤンキースと8年契約


・ショーン・マネイア 左 32歳 NYM→NYM

32登板|181.2回|12勝6敗|ERA 3.47
K率 9.12|被打率 .202|K/BB 2.92|WHIP 1.08
→11/3 選手オプションでFAに
→11/5 メッツはマネイアにQO提示→辞退
→12/23 メッツと3年契約で残留との報道


・ブレイク・スネル 左 32歳 SFG→LAD

20登板|104回|5勝3敗|ERA 3.12
K率 12.55|被打率 .174|K/BB 3.30|WHIP 1.05
→11/3 選手オプションでFAに
→11/27 ドジャースと5年契約との報道


菊池雄星 左 33歳 HOU→LAA

32登板|175.2回|12勝8敗|ERA 4.05
K率 10.55|被打率 .245|K/BB 4.68|WHIP 1.20
→11/26 エンゼルスと3年契約との報道


・ゲリット・コール 右 34歳 NYY→NYY

17登板|95回|8勝5敗|ERA 3.41
K率 9.38|被打率 .220|K/BB 3.41|WHIP 1.13
→11/3 コールはオプトアウト権を行使しました。
→11/5 コールはオプトアウトを取り下げ、ヤンキース残留の方向へ


・ネイサン・イオバルディ 右 34歳 TEX→TEX

29登板|170.2回|12勝8敗|ERA 3.80
K率 8.75|被打率 .229|K/BB 3.85|WHIP 1.11
→11/3 選手オプションでFAに
→12/11 レンジャーズと3年契約で残留


・ニック・マルティネス 右 34歳 CIN→CIN

42登板|10勝7敗 7H 0S|ERA 3.10
K率 7.33|被打率 .237|K/BB 6.44|WHIP 1.03
→オプトアウト権を行使 FAに
→11/5 レッズはマルティネスにQO提示
→11/18 マルティネスがQOを受諾


・ジャスティン・バーランダー 右 41歳 HOU→SFG

17登板|90.1回|5勝6敗|ERA 5.48
K率 7.37|被打率 .274|K/BB 2.74|WHIP 1.38
→1/8 ジャイアンツと1年契約


・佐々木朗希 右 23歳 ロッテ ※ポスティング(25歳未満)

18登板|111回|10勝5敗|ERA 2.35
K率 10.46|被打率 .205|K/BB 4.03|WHIP 1.04
→12/10 ロッテがポスティングシステムを正式に申請しMLBに受理された。
交渉期間は日本時間:12/10午後10時〜1/24午前7時の45日間



・小笠原慎之介 左 27歳 中日 ※ポスティング

24登板|144.1回|5勝1敗|ERA 3.12
K率 5.11|被打率 .270|K/BB 3.73|WHIP 1.20


・上沢 直之 右 30歳 BOSマイナー→SBホークス

2登板|4回|0勝0敗|ERA 2.25
K率 6.75|被打率 .143|K/BB 1.50|WHIP 1.00
→12/16 ソフトバンクハークスと4年契約との報道


・青柳晃洋 右 31歳 阪神 ※ポスティング

12登板|61回|2勝3敗|ERA 3.69
K率 5.16|被打率 .286|K/BB 1.67|WHIP 1.43


・菅野智之 右 35歳 巨人→BAL  ※海外FA

24登板|156.2回|15勝3敗|ERA 1.67
K率 6.38|被打率 .229|K/BB 6.94|WHIP 0.94
→12/17 オリオールズと1年契約との報道







(資料その2)24年オフにFAとなる主なリリーフ投手

※年齢は2024年末時点。球団は'24所属。年齢降順


・タナー・スコット 左 30歳 SDP

72登板|9勝6敗 11H 22S|ERA 3.75
K率 10.50|被打率 .179|K/BB 2.33|WHIP 1.13


・カルロス・エステベス 右 31歳 PHI

54登板|4勝5敗 0H 26S|ERA 2.45
K率 8.18|被打率 .192|K/BB 4.17|WHIP 0.91


・クレイ・ホームズ 右 31歳 NYY→NYM

67登板|3勝5敗 2H 30S|ERA 3.14
K率 9.71|被打率 .248|K/BB 3.09|WHIP 1.30
→12/7 メッツと3年契約との報道


・フィル・メイトン 右 31歳 NYM

71登板|3勝3敗 18H 3S|ERA 3.66
K率 8.44|被打率 .203|K/BB 2.50|WHIP 1.11
→11/3 球団オプションでFAに


・アロルディス・チャップマン 左 36歳 PIT→BOS

68登板|5勝5敗 22H 14S|ERA 3.79
K率 14.30|被打率 .198|K/BB 2.51|WHIP 1.35
→12/4 レッドソックスと1年契約との報道


・ケンリー・ジャンセン 右 37歳 BOS

54登板|4勝2敗 0H 27S|ERA 3.29
K率 10.21|被打率 .196|K/BB 3.10|WHIP 1.06


・カービー・イエーツ 右 37歳 TEX
61登板|7勝2敗 2H 33S|ERA 1.17
K率 12.41|被打率 .113|K/BB 3.04|WHIP 0.83


・クリス・マーティン 右 38歳 BOS→TEX

45登板|3勝1敗 15H 2S|ERA 3.45
K率 10.15|被打率 .276|K/BB 16.67|WHIP 1.13
→1/7 レンジャースと1年契約


・藤浪晋太郎 右 30歳 NYMマイナー
64登板|7勝8敗 5H 2S|ERA 7.18
K率 9.46|被打率 ---|K/BB 1.60|WHIP 1.49
※'24はメジャー登板なし。上記は'23のもの







◆2025ドジャースの投手ロースター

※記事更新時のもの

現状の補強状況から予想される2025年シーズンのドジャースの先発ローテ・中継ぎ&抑えのブルペンメンバーは以下の通り。


・先発
ブレイク・スネル 左
山本由伸 右
タイラー・グラスノー 右
トニー・ゴンソリン 右
ダスティン・メイ 右
大谷翔平 右


・中継ぎ
アンソニー・バンダ 左
ライアン・ブレイジア 右
アレックス・ベシア 左
エドガルド・エンリケス 右
マイケル・グローブ 右


・抑え
マイケル・コペック 右
ブレイク・トレイネン 右
エバン・フィリップス 右


(補足)大谷選手が二刀流区分に移行するまでは大谷+12人となるため、上記より1人少なくなる予定。

その辺の経緯やルールの解説はこちらをお読みください。

大谷翔平、二刀流復活のタイムテーブル。故障〜手術〜リハビリ【肘靭帯損傷・左肩亜脱臼】











◆2024オフシーズンのトランザクション(移籍・契約)


※日付は現地時間

1/9
・SP Jose Vasquez acquired from Twins for C Diego Cartaya
・C Diego Cartaya traded to Twins for SP Jose Vasquez
・RP Brusdar Graterol agreed to one-year contract (2025), avoiding arbitration
・RP Michael Kopech agreed to one-year contract (2025), avoiding arbitration
・RP Evan Phillips agreed to one-year contract (2025), avoiding arbitration
・RP Anthony Banda agreed to one-year contract (2025), avoiding arbitrationRP 

1/6
・OF Mike Sirota acquired from Reds with 2025 Competitive Balance Round A draft pick for 2B Gavin Lux

・2B Gavin Lux traded to Reds for OF Mike Sirota and 2025 Competitive Balance Round A draft pick

1/3
・INF Hyeseong Kim agreed to three-year contract (2025-27)
・C Diego Cartaya designated for assignment (pending)

12/27
・OF Teoscar Hernandez agreed to three-year contract (2025-27)

12/20
・RP Julian Fernandez agreed to Minor League contract (2025)

12/16
・RP Matt Sauer agreed to Minor League contract (2025)

12/14
・INF David Bote agreed to Minor League contract (2025)

12/8
・OF Michael Conforto agreed to one-year contract (2025)
・RP Blake Treinen agreed to two-year contract (2025-26)

11/29
・INF/OF Tommy Edman agreed to five-year contract (2025-29)

11/26
・SP Blake Snell agreed to five-year contract (2025-29)

11/23
・RP Giovanny Gallegos agreed to Minor League contract (2025)

11/22
・SP Dustin May agreed to one-year contract (2025), avoiding arbitration
・SP Tony Gonsolin agreed to one-year contract (2025), avoiding arbitration
・SP Zach Logue non-tendered
・RP Brent Honeywell Jr. non-tendered

11/19
・RP Jack Dreyer contract selected from minors

11/16
・RP Joe Jacques agreed to Minor League contract(2025)

11/14
・RP Connor Brogdon outrighted to minors; elected free agency

11/4
・SP Clayton Kershaw player option declined

11/2
・C Austin Barnes club option exercised
・INF Miguel Rojas club option exercised


野手についてはこちらをご覧ください。

(野手編|2024年オフ~25年)ロサンゼルス・ドジャースの主力選手の年俸と契約年数とフリーエージェント









(用語解説)球団オプション・選手オプションとは?



今回クレイトン・カーショウ投手やミゲル・ロハス選手の契約で出てきた「オプション」について説明します。

これは長期契約やベテラン選手との契約に付帯する「選択権」のこと。

契約終了時に選手・球団のどちらに延長行使権があるかを表しています。

その種類は大きく分けて、選手オプション球団オプション相互オプションの3つ。

・選手オプション・・・契約年が終了した後、更新するかどうか決める選択権が選手側にある

・球団オプション・・・契約年が終了した後、更新するかどうか決める選択権が球団側にある

・相互オプション・・・契約年が終了した後、更新するかどうか決める選択権が選手・球団両方にある

オプションの行使期限はワールドシリーズ終了から5日以内。

クレイトン・カーショウ投手は、選手オプションを辞退してFAとなりました。

これは同週に受ける手術の経過も含め、ドジャースと契約交渉する時間を十分に取りたかったためと言われています

球団オプションには契約しない場合のバイアウト(解約金)についても定められていることがほとんどです。

球団オプション(500万ドル)で来季の残留が決まったミゲル・ロハス選手には、契約しなかった場合のバイアウト(100万ドル)が設けられていました。







(用語解説)オプトアウト(opt-out)とは?



5年〜10年などの長期契約の中には「オプトアウト(opt-out)」という条項が盛り込まれることがあります。

これは契約途中でも、その内容を解除できる権利のことです。

長期契約は選手にとって、怪我や不調でもサラリーが保証されます。

一方で、契約金以上の目覚しい躍進を遂げても金額は上がりません。

そういった時にオプトアウトを行使することで、契約の見直しを球団に求めたり、FAとなることで、より評価の高い球団や自分の行きたい球団に移籍することができるようになります。

昨オフ球団史上最高額となる12年総額3億2500万ドルで契約した山本由伸投手には、6年目と8年目にオプトアウトの機会が設けられています。

長期契約では、球団の意向で破棄する場合のバイアウト(解約金)が設定されることが多いです。







(用語解説)クオリファイング・オファー(QO)とは?



メジャー各球団は、ワールドシリーズ終了から5日間に限り、自球団の選手に優先かつ独占して交渉することができます。

この期間中に、球団は手放したくない選手に対してMLBが規定した年俸で1年契約を提示します。

この提示=オファーをクオリファイング・オファー(QO)と呼びます。

規定金額は球団が決めるのではなく、MLBの年俸上位125名の平均で毎年算定されます。(2024年オフは2105万ドル)

またQOは「過去に提示されたことがある選手」と「シーズン途中で移籍した選手」は対象外。

QOを受けた選手は提示期限から10日以内(つまりWS終了から15日め)に受諾の可否を回答しなくてはなりません。
※ルール改変のソースが見つからないのですが、報道では今回のQOの回答期限は日本時間11/20となっています。


といっても球団から高額年俸を提示されるくらいの選手ですから、QOの単年契約ではなく、FA市場で大型契約を見込める可能性が高いです。

QOを辞退してFAとなっても、元の球団との交渉・残留が可能です。

そのため、過去QOを受けた選手は1割ほどしかいません。

24年オフもQOを受諾して1年契約を結んだのはレッズのニック・マルティネス投手のみでした。


QOにはもう一つの戦略的な意味が存在します。ドラフト指名権譲渡です。

QOを辞退した選手がFAとなり、他球団に移籍した場合、獲得した球団は元の球団に「ドラフト指名権」を譲渡しなくてはなりません。
※場合によっては25歳に満たない海外選手を獲得するための資金上限をさげられます。(条件が複雑なので割愛)


QOを受けた選手をFAで入団させようとする他球団は、選手の能力、契約内容だけでなく、ドラフト指名権についても比較検討する必要が生じるのです。

MLBでは、こういった戦略的な意味合いでQOすることが多いです。

ドジャースはTヘルナンデス選手にQO提示した一方で、ビューラー投手には提示しませんでした。

ビューラー投手に、24年の年俸(約802万ドル)の倍以上となる2105万ドルを保証するのは避けたいが、複数年やインセンティブなどより魅力的なオファーを提示するだろうというのが現地の見方です。

QOの回答期限を過ぎから12月初旬に開催されるウィンターミーティングにかけて、MLBのストーブリーグは一気に動き出します。








(用語解説)ポスティングシステム「25歳ルール」とは?



11月9日千葉ロッテマリーンズは、所属する佐々木朗希投手がMLB球団に移籍するためのポスティングシステムを申請することを発表しました。

ポスティングとは、海外FA権を持たない選手がメジャーリーグに挑戦するための制度で、過去には大谷選手もこの制度を利用してエンゼルスに入団しました。

ちなみにポスティング(入札)と聞くと、選手には選択の余地がなく、入札額の高い球団に入団するかのように思えますが、そんな事はありません。

ポスティング申請をするまでは所属球団(千葉ロッテ)に主導権がありますが、その後は選手(佐々木朗希投手)が自由に獲得希望球団と交渉することが出来ます。


ここで問題となっているのが「25歳ルール」です

MLBでは、25歳未満かつプロキャリア6年未満の海外選手との契約において

・契約金や年俸などを含めた契約金額は年間500万ドルまで

・入団した選手はマイナー契約からスタートとなる

と定められています。

2017年オフには日本ハムファイターズ(当時)の大谷選手が、この制度のもとロサンゼルス・エンゼルス傘下マイナーに入団しました。


また、各球団には「国際ボーナスプール※」という年間使用上限が定められており、11月の時点では多くの球団がプール金を消費済みです。
※全ての海外選手入団に関わる総金額のこと(入札時に元球団に支払う譲渡金は別)

2024年11月時点で、プール金残高が最大のドジャースでも250万ドル。

これは海外選手と契約する期間が例年1月15日〜12月15日となっているため、すでに各球団が使い切ってしまっているからです。

年が明ければ、プール金上限額までリセットされます。(上限は球団によって500万ドル〜700万ドルと違う)

ポスティングの申請期限は12月15日まで。

そこから45日間の交渉期間を経て、プール金がリセットされる来年1月15日以降に、マイナーでの契約となりそうです。

その際には大谷選手同様、春季トレーニングに招待選手として参加して、順調なら開幕前に40人ロースター入り=メジャー契約を勝ち取る形になるでしょう。








(用語解説)「 ルール5ドラフト」とは?


ドジャースは11月20日、傘下マイナーのジャック・ドライヤー投手を40人ロースター枠に昇格させました。

これはウィンターミーティングで行われる「ルール5ドラフト」での流出を防ぐためのものです。

ルール5ドラフトとは、長い間マイナーで活躍の場を与えられずに飼い殺し状態になることを防ぐための制度。

MLB規約の第5条に規定されていることから、この名称で呼ばれています。

ルール5ドラフトでは、下記条件を満たす他球団の選手を指名して獲得することが出来ます。

40人枠外の選手で

18歳以下で入団・・・プロ在籍5シーズン以上

19歳以上で入団・・・プロ在籍4シーズン以上


獲得する側の球団にも条件があります。

・40人枠に空きがあること

・獲得した選手を次シーズン、アクティブロースター枠に入れ続けること

また、元球団に10万ドル支払う必要があります。


このため登録期限(今年は11/20)になると、各球団が有望選手を40人枠に加えたり、ルール5ドラフトのために選手をDFAするなどして空きを作ったりします。


ウィンターミーティングとは、MLB30チームおよび160を超すマイナーリーグベースボール(MiLB)の全チーム運営関係者らが一堂に会す一大イベント。

そこでは、ルール5ドラフトなどの各選手の去就や、来季以降のリーグ運営などについて直接話し合われます。

毎年12月初旬に設定されており、2024年は12月9日〜12日の4日間行われます。(現地時間)








(用語解説)ノンテンダーFAとは?



MLBでは前シーズン終了時に40人枠に入っていた選手に対して、来季の契約を結ぶ意志があるかどうかを示す期限が定められています。(24年オフは11月22日)

今回ドジャースではハニーウェル投手とローグ投手に来季の契約をしないと伝えました。

ノンテンダー(non-tender:申請なし)されてFAとなることを、通常のFAと区別して「ノンテンダーFA」と呼びます。

なぜ、両投手がノンテンダーFAとなったかというと、メジャーリーグ・サービス・タイム(MLS)が3年以上6年未満の選手には、年俸調停権が与えられるため。

調停になると年俸が大幅にアップすることが多く、逆にダウン率は20%までと定められています。

昨オフには、ブルージェイズのゲレーロJr.選手が年俸調停に臨み、1990万ドルを勝ち取りました。

2022年オフ、当時エンゼルスの大谷選手は調停をせず1年3000万ドルで契約合意。これは過去に調停回避した選手の中で最も高い金額でした。(当時)


年俸調停権のない3年未満の選手には、球団側に年俸決定権があるうえ、マイナーオプションがあるので、経営面でもチーム運営面でも柔軟性が高いのです。

そういった面でもマイナーオプションのない中堅クラスの選手は、ノンテンダーされやすいとも言えます。


ストーブリーグも含め、選手の昇降格や入退団が激しく行われることも、メジャーリーグの魅力の一つです。











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